特定非営利活動法人
NPO日本食育インストラクター協会


NPO日本食育インストラクター1級取得者インタビュー企画⑥:赤﨑奈穂子さん

小さい時からの夢、料理教室の先生を、子育て終了後に実現され、長崎の食の分野で大いに活躍されている赤﨑奈穂子さんにお話を伺いました。

Q. まず、食育を知ったきっかけを教えてください。
料理研究家になるのは私が小学生からの夢でした。ビデオもインターネットもない時代、テレビの料理番組が私の先生でした。江上栄子先生に憧れ、「私も先生のような素敵な料理の先生になりたい」と強く思うようになりました。

子育てが一段落した2004年4月に念願の「料理教室ボナペティ」をスタート。生徒さんに通ってよかったと思ってもらえる教室になるよう試行錯誤をしていたある日、有田焼の器を使ったコンテストのポスターで【審査員】江上先生の名前を見つけました。先生にお会いしたい一心で応募したところ、予選通過し、コンテスト会場で憧れの江上先生に初めてお会いすることができたんですよ。それだけでも夢のようでしたが最優秀賞をいただき、これがきっかけでテレビなどの仕事も入るようになり、私の料理研究家としての転機になりました。江上先生とは、以前開催された協会の10周年のイベントでもお会いでき、そのご縁に驚き!感激!嬉しくて涙が出そうでした。

料理教室では、生徒のみなさんのいろいろな疑問や悩みにお答えしていくのですが、次第に「もっと食について学びたい」と思うようになり、食育インストラクターの資格が取得できる、がくぶんの通信講座に出会いました。毎回返送されてくる回答書のコメント欄の温かい言葉に励まされ学ぶことが楽しくなりました。
1級取得後も研修に参加し続け、今年1級GOLDの認定を頂き、胸元にバッチを輝かせながら活動しています(ニコニコ)。

Q. 料理教室を主宰され、その活動内容、また食育との関わりなども教えていただけませんか。
大きく3つのことを意識しています。1つ目は料理講座として、「作る人も食べる人もHappy!」をモットーにみんなで楽しく料理を作って食べています。作った料理を囲んでのおしゃべりタイムは皆さんの大きな楽しみの一つとなっています。

2つ目は和食文化を伝えるために、一汁三菜の栄養のバランスの良い和食、地域の海の幸・山の幸を生かした食事作り、季節の移ろいを感じる料理、年中行事にまつわる食、と4つのテーマで進めています。

3つ目は魚食普及活動です。長崎市水産振興課が、女性のアイデアや発想を反映させようという目的で、料理や販売、水産加工などの分野で活躍する女性15名に呼びかけ、「魚のまち長崎応援女子会」を設立しました。私もその一員として参加し、自分の得意分野を活かしていろいろな活動を行っています。私たちが子どもたちの健康を願って作成に携わった魚を使った離乳食レシピ集「フィッシュスタート」は3カ月検診の際に、絵本「おさかな すきなこ だあれ?」は3歳児検診の際に配布されています。

2021年に12の食育ピクトグラムが発表されました。私の食育活動は、次のように紐づけられると思います。
・みんなで楽しく料理をして楽しく食べる(ピクトグラム1)
・地元の食材を使った料理「地産地消」(ピクトグラム9)
・和食の基本「出汁の魅力」(ピクトグラム11)
・一汁三菜のバランスの良い食事作り(ピクトグラム3)
他にも新聞や市の広報紙へのレシピの掲載、テレビの情報番組のお料理コーナーへの出演、県産品のカタログの撮影協力、県主催の水産教室の講師、商品カタログのレシピ作成などを行っています。

 
    ご自宅にて            長崎の魚を使った料理講座

Q. 料理教室を中心に、多岐にわたる食育活動を展開されているのですね。多くの食育インストラクターの皆様の参考になると思います。それら活動を進める中で、大変だったこと、良かったこと、また工夫されていることなど、ぜひご紹介いただけないでしょうか。

女声コーラスをしています。コロナ禍で合唱の練習場所を確保するのに苦労しますが、全国おかあさんコーラス静岡県大会への出場を目指して、練習に励んでいます。そして何よりの楽しみは、毎日の食材を地元の生産者のところへ直接買いに行き、その生産者と直接話すことです。好きですし、大切ですね(笑)。

「食育という言葉を聞いたことがありますか?」という問いには100%に近い方が聞いたことがあると答えますが、「食育とは何だと思いますか?」という問いにはみんな首をかしげて「親子料理教室かな?」「野菜を育てたりすることかな?」と答えます。どれも食育の一つだと思います。食育活動は奥が深くて、私もみんなが十分理解して納得でき、更に実践できるような説明ができるか、実はまだ自信がありません。多くの課題があると思いますが、まず私は食品ロスの問題をはじめ誰もが家庭でできる事を伝えていけたらと考えています。

これまで多くの方々からたくさんのご意見もいただきました。そこで感じるのは、年齢や環境でそれぞれの食の意識や悩みが違うということです。ある講座の質問コーナーでした。男性の受講者から「会社を定年退職後、家事を手伝おうと思って料理を始めたのですが、なかなか上手くできなくて妻から怒られてしまうのでどうしたら良いか?」との質問が出ました。 一瞬、調理室には笑い声が響き、主婦の方はうなずいてらっしゃいました。私は「まず何か一つだけ担当される事から始めてはいかがですか。 例えば炊飯担当・お味噌汁担当など自分ができる事から一つずつ」とお答えしました。その後どうされているのか楽しみなんです(笑)。

小学校では「水産教室」として、毎年、漁業士の方と一緒に「お魚のさばき方体験、調理実習、食育講話」を行っていました。コロナ禍で活動内容が制限される中、体験や実習は行わず動画で紹介することとなりました。しかし、思った以上に子どもたちはメモを取りながら真剣に観てくれて、質問コーナーでは活発な意見もでました。その後実際に家庭で作ってみたという嬉しい報告もいただきホッとしています。

ちょっとした小ネタとしては、私は名前に「赤」の文字が付いているので赤いエプロンを身に着け、調理が終わって食育コーナー&質問コーナーではエプロンからジャケットに着替えると決めています。場の雰囲気をやわらげるため「赤い食べ物は何があるかな?」「緑色の食べ物は何があるかな?」など、カラーコーディネーターの経験から食と色彩の話題も少し取り入れるようにしています。また、当日のプログラムは、話す内容をあらかじめホワイトボードに書いておきます。そうすることで話し忘れがなく時間配分がスムーズにできますのでお勧めです。

 
        食育講座での2コマ

Q. 最後に、今後進めていきたい展望について、食育活動以外も含め、お願いできたらと思います。

趣味はガーデニングで、時間を見つけてはホームセンターに通っています。新たに家庭菜園にもトライしてみて、採れたての新鮮な野菜の美味しさには驚き!そして少々形は揃っていなくても自分で育てた野菜は美味しく感じるものですね。残念ながら、昨年は長雨でキュウリが枯れてしまいました。ニュースでも生産者の方が荒れ果てた畑を目の前に途方に暮れて落胆された様子が報道されていました。自分で野菜栽培を経験してみて、生産者のご苦労が初めてわかり、食べ物を大切にすることを伝えなければと改めて強く思いました。

また私はカフェが大好きで、コーヒーではプロフェッショナル認定セミナーを受講した程です。長崎は海外との貿易が盛んだったのでコーヒーが日本に入って来た最初の港。長崎にお越しの際は、ぜひカステラとコーヒーで異国情緒あふれる街を感じていただけたらと思います。それと長崎周辺は、有田焼、伊万里焼、波佐見焼、三河内焼など全国的に有名な魅力ある器と出会える地域です。和食とともに日本の器の魅力も発信できたらと思っています。

食は私たちが生きていく上で欠かせないもので元気の源です。食を大切にすることは自分自身を大切にすることであり、身体と心の健康に繋がると思います。今後も「作る人も食べる人もHappy!」をモットーに、料理の楽しさ食べることの大切さを発信していけたらと思います。

 
         家庭菜園                波佐見焼の器を使ったCM撮影協力

多くの貴重なお話をありがとうございました。長崎地元での食育活動、ますますのご活躍を祈念いたします。

料理教室ボナペティ

「魚のまち長崎応援女子会」
魚を使った離乳食レシピ集「フィッシュスタート」
長崎の魚をテーマにした絵本「おさかな すきなこ だあれ?」

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